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2013年11月

 全山黄葉、紅葉ではなくて文字通りの黄葉、10月下旬、北海道道央道自動車道札幌から旭川に向けての目を見張るような、うっとりするような魅惑的な風景、よく見ると落葉樹の上の方が黄色に色づき、下の方はまだ幾分緑色が残っている。しかし全体でみると輝くばかりの黄色に染まっている。北海道のある種の樹木はこの時期朽ち果てる前の最後のお化粧をしているのだろうか。不思議なことに本州のように燃えるような真っ赤に色づく木々はほとんど見られない。桂や白樺やその他の名前の知らない木のせいだろうか。その黄色とところどころに残る常緑樹の緑色とが人には想像つかないような鮮やかなコントラストを呈している。自然界の色の配色や配合、組み合わせは人間の英知を超えている。数えきれないほどの微妙な色彩、デザイナーや建築家が惜しみなく研究してもその内容を把握し、その域に到達することは可能ではないとしても、その一部くらいは享受させていただいている。昔のことを言って申し訳ないが、紅葉は当たり前だった。そんな事気に留めたことはなかった。初夏に燃えるような緑が芽吹き、夏を越して秋に真っ赤になったり、まっ黄になったりして落葉して朽ち果てていく。当たり前のことであった。そんな光景は珍しくなかった。きれいとか素晴らしいとか感動したとの感情を持たなかった。年月がたち、自然が周りから消えていき、それと同時に書物や報道を通じて再認識され始めた。当たり前のことが貴重な存在になって初めてその価値を見直したのかもしれない。いわゆるないものねだりになったのだろう。そんな事を考えながら車を走らせていると千歳から170km, 2時間弱、旭川市の目的地に着いた。毎年この時期、全日本私立幼稚園連合設置者園長全国研修大会が開かれる。今年も600名余りの人が全国から集まった。今幼稚園は様々な課題に直面している。一つは平成27年4月から新制度が始まり、今までの幼稚園が0歳からの保育所機能も備えた認定こども園になるか、従来通りの3,4,5歳の幼稚園のままで存続するかということです。もう一つは幼児教育の無償化がどのような形で実現されるかということです。その他に年長組を小学校に組み入れるという考えも提起されています。100年以上続く企業は珍しいのと同じように幼稚園や学校の制度がこのまま続くとは思いませんが、この激動の時代をいかに乗り切っていくか、私たちに課せられた大きな試練であることも事実です。どちらにしても私たちは「子どもは次の世代の宝物」であることを深く自覚し、子どもの自由に生きる権利を認め、子どもが真ん中の保育をしっかり進めてまいります。話を元に戻します。会場近くのホテルが満室であったために時刻表で調べて、何の知識もなく旭岳温泉というところに泊まった。知らなかったとはいえ、そこは会場から40km近く離れ、その上海抜1000mを超えていた。6時過ぎに研修大会を終えて、レンタカーで暗い山道をひたすら登って約1時間、目的地に着いた。外は雪が積もる0度の世界、そこが大雪山国立公園のひとつの入り口であること、そして旭岳に向けての500mの落差のあるロープウェーの駅であることを初めて知った。又大雪山という名の山がないこと、一番高い山は目の前の旭岳である事を知った事は山音痴の私にとっては貴重な知識になった。旭岳2291mの頂上は雪をかぶって威厳を誇っていた。姿見駅(1600m)を降りると雪が氷となって一面を覆い、麓にあった黄葉も、もうここにはなく、すべての葉を落とし、荒涼とした景色の一部になっていた。樹木の生存限界を超えているのだろう。スーツ姿の私はバッグを持って700mほど革靴で雪の上を歩いて姿見の池まで行って引き返したが、轟音を立てて水蒸気を吹き上げ続ける旭岳には何か恐ろしさと同時に一種の包容力を感じた。日本再発見、まだまだ私たちの知らない日本の美が至る所に隠れている。
この時に聞いた旭山動物園の園長の話や実際に見た光景をいつか書いてみたいと思います。


全日本私立幼稚園連合設置者園長全国研修大会
雪をかぶって威厳を誇る旭岳


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