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2015年11月


 大阪伊丹空港を飛び立って1時間余り、JL2183便は高度を下げ始めた。それと同時に「当機は約15分後に着陸します」とのアナウンス。眼下には刈り取られたばかりの農地が広がっていた。その時突然機体が揺れ始めた。雲がなく晴れ渡っていた。次の日に乗ったタクシーの運転手によると、機体が大きく揺れ、時には機首が上がったりして空中で翻弄されていたそうだ。機内では「揺れがあるが、飛行に何ら支障がない」という放送が流れたが、乗客にとって、ましてジェットコースターに恐怖を感じる私にとっては不安な瞬間であった。小型機は無事定刻にいわて花巻空港に着陸した。すぐにレンタカーに乗って盛岡に向かった。まっすぐ伸びた東北自動車道沿いに植えられた樹木はすっかり紅葉し、秋の気配が色濃く漂っていた。昔、誇り高き南部藩が治めていた豊沃な大地を切り裂くように今の高速道路がどこまでも続いていた。周りをよく見ると、豊かな農地を見守っているかのように家が点在していた。どの家も大きな杉の木や落葉樹で守られていた。その時、先ほどの飛行機の大きな揺れを理解したように思えた。この地域は防風林が家を守っているのだと。そして宮沢賢治の言う「目に見えない空気の流れ」が強いのかもしれない。一体このあたりの高速道路の制限スピードはどのくらいなのだろうか。100km位で走っていても悠々と抜かれてしまう。高速道路に岩手山の案内、前方に悠然とした大きな山がその雄姿を見せた。盛岡に到着した。昔南部氏が治めた盛岡藩の都はこじんまりとした県庁所在地であった。第31回全日本設置者・園長研修大会が450名余りの参加者の下で開かれた。私もそのうちの一人であった。いつもそうだが、最初にその地出身の有名人かその地が生み出した高名な人についての講演があった。今回は関西であまり知られていないが、岩手では自慢と羨望の人、10年ほど前までは5000円札にその顔が印刷された新渡戸稲造であった。堪能な英語、多彩な人脈、利他の気持ちとクエーカー教徒としての信心、大活躍な様子が話された。次に文科省の幼児教育課長の話があった。幼稚園を取り巻く環境は大きく変化している。その一つは幼児教育の無償化。これは就園奨励費という形で徐々に保護者の負担軽減が図られているが、近い将来5歳児の完全無償化になる可能性は高い。ちなみにイギリス、フランスは無償化が実現しているがアメリカ、ドイツは流動的で、州によって異なっている。イギリスは5歳から義務教育であるがフランス、アメリカ、ドイツは日本と同じである。昭和33年以降、学習指導要領はほぼ10年毎に改訂され、平成20年改訂では、小学校への外国語教育が導入されたが、それにも増して幼児教育の重要性が認識され、幼児教育と小学校教育の円滑な接続の在り方が問われ、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が参考例として報告された。又幼児期の教育、保育に携わるのは幼稚園と保育所であるが幼稚園児数は平成10年を境に保育所児数と逆転している。因みに平成25年は保育所児数235万人、幼稚園児数160万人弱である。これは待機児解消のために国を挙げての保育所増加政策によるところも多い。少子化と保育所激増で幼稚園の経営も厳しさが増していますが、真の幼児教育は何かを見極め、建学の精神に基づき、日々真摯に誠実に幼児教育に取り組み、子供の成長、発達を望む保護者の皆様の期待に応えていく、このことが私たちに課せられた大きな責務であることを深く再認識させられた講演であった。 帰り道、道路工事の現場に何回か出会った。不思議に思って聞いてみると、土木作業従事者が県外に出ないように引き留めるための公共事業であるといわれた。そうでなければ、冬、雪が積もったときにその除雪に従事する人がいなくなるからだそうだ。花巻はまた宮沢賢治の故郷であり、彼は花巻の誇りでもある。裕福な出身で、ほぼ収入がなくても詩作にふけり、好きなことに身を投じるその姿やその文体や内容について反感を持つ人もあるが、裕福なゆえに、自分の立場と農民の悲惨な境遇との対比を通じての贖罪感や他人を思いやる心が人一倍強かった。弱者に対する献身的な態度と強者に対する反感、そんな入り混じった感情が読者に迎え入れられている。土に生きた人として、環境の面からも評価されることも大きい。花巻市の山の上の宮沢賢治記念館で得たものは私にとっては大きい。

33回設置者・園長研修大会 宿泊の宿 宮沢賢治記念館 防風林に囲まれた家


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