10月22日夜7時15分、ANAのボーイング737が爆音を後に残して伊丹空港を離陸した。1時間後の8時20分、何事が起ったかびっくりするほどの大きな音と衝撃を伴って、兎に角福島空港に着陸した。昼は大阪と同じくらいの気温でも、夜になるとさすがに寒い。福島交通のバスで約40分、郡山に到着、歩いてダイワロイネットホテルに歩いて移動、駅前の便利なビジネスホテルだ。第38回全日本私立幼稚園研修大会が10月23と24日、山形市のホテルメトロポリタン山形で行われる。それに先立って上杉鷹山の米沢市を、そして上杉神社をどうしても見ておきたかった。翌朝8時30分、レンタカーを借りて、一人で東北自動車道を北進し、福島市で東北中央自動車道に進んだ。こんな峻険な山々が連なる場所によく高速道路を建設したと思うくらいトンネルが続き、そのトンネルを数多くの橋でつないでいた。高速道路があるのは当たり前だろうか?土地の地権者との交渉、買収、設計、土木、建設、付帯工事、その他、どのくらい多くの人々がこの道路を作るのに、携わったのだろうか。どのくらい努力し、どのくらい頭を絞って設計したのだろうか?日本には数多くの高速道路があるが、ここも難工事の一つだったのではと思うと同時に、日本の土木工事の技術力の高さを見せつけられた思いだ。戦前、戦後を通じて蓄積された技術、人数が多かった団塊の世代の頑張り、そしてその後を受け継いでいる現役世代、GNPが世界4位になったとはいえ、日本にはまだまだ世界に誇るものがある。「為せば成る、なさねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」上杉神社にはこれをしたためた掲示板があった。「どんなことでもやろうと努力すれば、必ず実現できる。逆に無理だと思ってあきらめ、努力をしなければ、絶対に実現できない。」上杉鷹山は莫大な借金を抱え、民衆が苦しんでいた藩を自分から模範を示して節約に努め、新たに産業を起こし、学問所も作り、財政の立て直しに全力で取り組んだ。又子どもや老人を大切にする政治も行った。今でも通用する次の4か条を唱えた。
1.民の父母の心構えを第一とすること。
2.学問・武術を怠らないこと。
3.質素・倹約を忘れぬこと。
4.賞罰は正しく行うこと。
それにしても隣の会津若松と言い、この米沢藩と言い、質実剛健、幕府に対する毅然とした態度、藩主を支える人々の心意気、山間に囲まれた厳しい環境のなせる業かもしれない。山形空港は「おいしい山形空港」と呼ばれる程、果物をはじめ、米、肉、なんでも美味しいと副知事や市長の言葉、そのおいしさの代表として、初めに「出羽桜」酒造の仲野益美社長の記念講演があった。その中で心に残った一つが、山形の作り酒造は10社あって、皆、仲が良い事、「他の酒の犠牲の上に立った酒でないこと」すなわち自分だけ、自分の会社だけ良いというのではない。またチャレンジ精神をうたい、「チャレンジすれば苦労を伴うが、未来が開拓できる」と説く。又輸出にも力を入れ、5年度は475億円であった。次に文科省の幼児教育課長の藤岡謙一さんが幼児教育の現状と将来について講演した。教育は幼児教育から小、中、高校教育までの積み重ねであり、基礎、スタートが大事である。幼児教育では総合的に育む次の3つの資質能力をバランスよく習得する必要がある。すなわち、知識・技能の基礎、思考力、判断力、表現力などの基礎、学びに向かう力、人間性などであり、幼稚園などでの普段の活動、遊びなどが小学校での本質的理解、正確な知識、技能の習得、思考力・判断力・表現力の育成に繋がっていく。幼児教育の良し悪しの状況によっては今後の人生を左右するものであり、幼児教育にお金を使うことは将来への大きな投資である。日本でもその子どもたちはどのように成長し、どのような人となっていったのか、大規模な追跡調査を始めるそうだ。この講演の中で私の興味を引いたのは幼稚園・保育所を選ぶ場合、保護者は何を基準としているかであった。1.アクセス、2.施設の雰囲気、3.保育時間・預かり時間、4.保育者の信頼度や安全への配慮などであり、体を動かすこと、外遊びなどの身体面の成長、施設の教育・保育方針、保育教育内容、施設設備(園庭などの有無)はあまり重視されていない。極端な話をすれば、保護者への様々なサービスの提供は教育。保育内容よりも重視されているということであった。例え一般的にそうであったとしても幼児教育はこれからの人生の出発点であり、人生の根幹をなす部分、認知能力及び外遊びや友達関係で育まれる非認知能力の向上を目指して保育内容の充実に努めてまいります。今後とも暖かいご支援、お力添えを賜りますよう、心よりお願いします。